「もしかしてまたかよ……」



舌打ちする少年は当たりをキョロキョロと見渡した。
小さな庭のような場所に出たらしく近くに建物がある。中華料理屋でよく見るような建物である。
今までの経緯からここは自分の家か友達の家とかそういったオチである。
とりあえず自分の格好を確認するべく少年は自分を見下ろした。



「何故アッシュホード学園の制服?」



確認のために髪の毛を抜くと日本人として人類としてありえない青い髪。
ポケットを探るとリヴァルの頃のケータイが出てきた。
開けてみると圏外。
ちょっとした故障かと思いケータイの電池を抜きちょっとしたらまた入れて電源を入れるが結果は同じ圏外。



「ありえなーい」

「どうかなさいましたか?」

「世界中使えるケータイなのに圏外よここ。
 衛星が普通にあってちびガンダムがある世界なのに電波ないとかありえなーい。技術の無駄使い」

「はぁ……」



独り言のつもりが会話になってることに驚き声が下方向を見ると中国とか韓国とかの格好をした人が立っていた。
ちょっと困った風に笑っているのが印象的だ。



「ここではなんですので私が使っている客室にいきましょうか」



なんだか強引に連れて行かれる。
腕を掴まれているわけではないのだが時折後ろを向かれて急かされている気がする。
廊下のような場所に土足で入ってちょっと離れになっているような場所に入った。
室内には椿の絵や花が飾られていて華やかなのだが日本人として落ち着かない。



「迷子だったのですか?」

「そういわれれば迷子ですね。はい」



明らかに良い部屋に萎縮して思わず敬語が出る。
その様子に少し苦笑して中国服(?)の男の人は軽く手を叩く。
何やってんだこいつ。
そう思ったのもつかの間外から失礼しますと声が聞こえてきて人が入ってきた。
これまた中国服(?)の男の人。
この部屋に連れて来た人はどこにもいそうな地味な印象を受けるがよく見ると整った顔をしているが、
今入って来た人はどこか目を引くのだがこれまたどこにでもいそうな印象を受ける。
2人とも道ですれ違っても目で追うことはしないのだがちょっと友達になって欲しいタイプの外見だ。



「いかがされましたか?」

「お茶と後お茶菓子を頼む3人分で」

「かしこまりました」



どうやらここは何かのお店らしくその店員を呼ぶために手を叩いたらしい。
店員のお兄さんが静かに部屋から出て行った。
それにしても何で3人分なんだろう……?



「君の名前聞いても良いかな?」



店員のお兄さんがいなくなってから聞かれたのだが、
ここは本名を名乗るべきか体の名前であるリヴァルを名乗るべきか……。
本編でも出ていない本名を正月企画なんてもので出していいのか……よくないのか
今なんだか電波が入ってきた気がしたが気のせいだろう。うん。



「リヴァルと申します」

「珍しいお名前ですね。申遅れましたが私はと申します晴瑠殿」

「いやいや、俺の名前はリヴァルでしてけして晴瑠という名前ではないんですが!」

「李晴瑠殿ではないんですか?」

「当て字かよ!!」

「まあまあお気にせずに」



この人若干天然なのか?それとも計算?
どちらにしても今の現状把握できていないリヴァルにとっては脅威的な存在ではある。



「失礼いたします」



再び店員のお兄さんが入ってきた。
収集がつかなくなってきたので正直救いの神かと思った。
お茶とお茶菓子を置いて出て行こうとしたお兄さんをさんは呼び止めた。



「何でいこうとしてるんですか殿。貴方も巻き込まれなさい」

「嫌です」

「何のためのお茶3人分だと思っているんですか?」

「食い意地の悪い様の予備かと思っておりましたが?」



2人の間にパチパチと火花が散っている。
アレが目と目で会話している状態なのだろう。アイコンタクトより邪悪なものを感じるのだが気のせいだろう。うん。
途中でお兄さんが諦めたように席に座った。
怒ってる風なのにドスンと座らないあたり大人だ。



「この人はこの店花壇の副料理長である殿。
 で、こちらがさっき花壇の庭で散歩していた時に突然湧いて出た李晴瑠殿です」

「……李晴瑠です」



名前はもう諦めた。
本名じゃないしこの人わざとだろうし音はほぼ同じだし。
アジア圏の人に正しい発音なんて求めてはいけないんだよ。
スザクだってぺらぺら喋る割りにたまに変なイントネーションだったし。
なんだかさんがこちらを哀れに見ているが気のせいだろう。初めて会った人だしな。
哀れまれる理由が……あるな。



「湧いてでたってここは貴陽ですよ。無理無理」

「私の目の前で湧いて出たんだよ実際この晴瑠殿は」

様が最近詰まらないからと言って適当に彩雲国の人間としては珍しい顔の方を
 引張ってきて変な格好をさせて僕をからかおうという算段じゃないんのですか?」

「それはそれで面白いんだろうけど違うから困ってるんじゃないか。
 毎年煩いわが家を離れて1人でお茶をしに来ているのにこんな面倒事起こすわけないでしょ。
 そんな悪戯するなら反応が面白い絳攸にするって私ならね。それに、この晴瑠殿の服の素材見てみてよ。
 万年金欠の私の家でこんな布を使って服を作るのは儀礼用ぐらいだよ」



リヴァルをそっちのけで口論になっている。
服の素材の事いわれてさんがリヴァルに一言いれてから服の素材を確かめるように触ると納得したように頷いた。



「確かに、貴方がここまでお金を掛ける訳ないですよね。金欠侍郎ですし」

「……自分で言ってアレなんだけどさへこむよねその納得のされ方」

「年始にこんな厄介ごとを持ってくる貴方にはちょうど良いんじゃないですか?」

殿って私に対してだけ辛辣だよね」



さんがそういうとはんっと鼻で笑うさん。
さんのほうが年下のはずでお客さんと店員さんの関係なのにとても仲が良いらしい。
それにしても俺は置いてけぼりである。さっきから会話に入れない。
勇気をだして声を出す。



「あの〜すいません」

「なんだい?」

「どうしたんですか?」



基本良い人らしい。返事を返してくれる。
会話の端々で違う気がするのはわかっているが確認をする。



「ここって中華連邦ではないんでしょうか?
 それと、ブリタニアという国名は聞いたことないですか?」

「ちゅうかれんぽう?ぶりたにあ?」

「場所の名前を聞いているならここは貴陽の料理処花壇。
 国の名前を聞いているならここは彩雲国。現王は紫劉輝様」

「分かってたけどギアスの世界でもない!!」



突然叫んだリヴァルだったが2人は若干笑っただけだった。
こういった状況に慣れているらしい。
とりあえずお茶をすするとなんだか香ばしい。
お茶菓子をみると可愛らしい梅の花の形を模している。さっき年始と言っていたから縁起物かもしれない。

これまで色んな世界にきたがその世界の住人じゃないのははじめてである。
ブリタニア知らないなんてリヴァルの世界で生きている人間でいたら未開の地の人間しかいないだろう。
いろんな人間になってきたがこれは最悪のケースである。
他の最悪のケースは憑依した瞬間殺されかけている、お風呂中、ヤッてる最中、生まれた瞬間などである。



「定住先もない、仕事ない、戸籍ないの三拍子はもしかして初めてじゃないか俺」

「無一文で行くとこもないならうちの店で働いてみますか?
 筋が良かったらうちの店以外でも働くことになりますけど。各州に支店がありますから」

「花壇なら安心ですしね。色んな意味で」

「2人とも何か含みがありませんでしたか?」

「そんなわけないでしょ/そんなわけありません」



この2人口調は丁寧なのになんだか引っかかる。
今まで会ってきた腹黒パターンとも若干違う気がするのでほっとくのだがもっと性質が悪かったら泣くぞ俺。



「じゃあ、よろしくお願いします」



当てもないのでこちらでお世話になろうと頭を下げる。
すると頭を上げた瞬間もとの俺の世界に帰っていた。もしかして、最短記録?
向こうは混乱してるのかななんて考えたが今の俺には関係ないし、
俺の存在も2人にしかいられていないなら問題なかろう。

そう思い音が鳴った自分のケータイを開くと12月31日が数秒前に終わっており、
そういえば年越しのために起きていたことを思い出す。

利之からのあけおめメールに返信をして
今回はどこの世界だったか早速インターネットで検索をかけたのだった。

検索単語は【  彩雲国 貴陽】
いつもなら1ページは何か出てくるのだが今回は
彩雲国 貴陽に一致するウェブページは見つかりませんでした。』の表示。
不思議に思いながら【彩雲国】で検索すると原作は女の子向けの小説だと分かった。
ウィキペディア登場人物にさんとさんがいるか調べたのだが出てこず、ちょい役なんだろうなと思いパソコンを閉じる。

それにしても、高校最後の年越しで違う世界に行くなんて俺ってついてない。
分かってたけどな。うん。

利之にまた違う世界に行ってた。
今度は彩雲国物語っていうとこだったと再びメールを送ると、お前妄想ジャンル多すぎwwwと返ってきた。
こんな反応が返ってくるとここが自分の世界なのだと確認できるのであった。


































あとがき


あけましておめでとうござます!
2009年の初更新が年始記念・年初めだよ全員集合!です。

憑依主視点で彩雲国の主人公2人がでています。
実は隠れ設定で彩雲国の2人は同じ彩雲国世界の住人なんです。
何と言う無駄設定。
他にも彩雲国主人公2人には隠れ設定があるんですがこれまた無駄設定。
記念や企画でしか会う予定ないので無駄も無駄。
銀扇草主人公のところでこれから花壇の名前は出てきても無償の愛主人公は出てきません。
無償の愛ではたぶん礼部侍郎の噂話がちょろっとあっても名前さえでてこないような登場人物な立ち位置です。
何と言う無駄設定。

憑依主は平凡で普通の子なので、彩雲国主人公ズにはキャラとして太刀打ちできません。
色んな世界に行ったとしても彼の本質は平凡普通なので(笑)

今年の目標はリヴァル連載を終わらせること。無償の愛を更新することです。
銀扇草はシリーズ系なので書こうと思ったらネタをひねり出せるんですが、
無償の愛はどうしても伏線とか考えると手が止まるのです。


それではあとがきまで読んでくださってありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。


ここまで読んでくださった方に
1月5日まで限定で拍手かメールフォームにて報告でリクエスト権を差し上げます。
本文の最初に【あとがき読んだよ!】をコピペしてくださればできる限りリクエストに答えたいと思います。
・○○に憑依させてください!
・リクエストとかいいんで更新すれば? など
なんでも構いませんのので

もし、リクエストなければ自分で適当にリクエストされたことにして書こうと思います(笑)






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