自分はありえない体質だ。
ありえない、ありえない、ありえない。

まず、普通に話しても信じてくれないだろうから
一番初めに体験した自分の体質について話そうと思う。

たぶん、貴方がこれを読んでいる頃には自分は違う所にいるかもしれないし、
もしかしたら、貴方の近くにいるかもしれない。


これはそんな馬鹿げた、でも、俺にとっては夢のような現実の話。
さて、物語を語るときのでだしは大抵『昔々』だが、これはそんな昔の話ではない。

俺がその自分の体質に気がついた初めての話はたしか2年ぐらい前の話だったと思う。



そうだな、確かあの日は普通の一日だった。

















カーテンを開けると、日の光がこれでもかと言うぐらい入ってきた。
それをみて思わずカーテンをまた閉めた。
今何時なんだろうと思い、ケータイを明けてみると7時20分をちょっと過ぎていた。
遅刻はしないが少し急いだ方が良い時間帯だった。

動き出さない脳ミソを活動させるべく、のろのろと朝食を作り出そうとするのだが
冷蔵庫の中には牛乳と卵しかなかった。
今日は目玉焼きと卵焼きが朝食かなんて、家庭科で習った1日に卵は1個で良いという
栄養のなにかを習ったような気がするがそんなの目の前の現実に直面すれば関係ない。
家庭の事情も考えろ、家庭科よ。

フライパンの上でおいしそうに目玉焼きが焼かれていき、その隣では卵焼きが焼かれていく。
食パン一枚あればもう少しましな朝食だったのになぁ、なんて考えるが時計を見るともう50分。
急いで卵を口に入れ牛乳を喉に流し込む。
洗面台で適当に髪を手入れして口の端についていた食べかすを顔を洗うついでに取り、
適当に歯を磨いた後、キシリトールガムを口に含み家を慌てて飛び出した。

学校まで30分かかる道のりを自転車かっ飛ばして学校に向かう。
途中でそういえば、利之から昨日ゲームを借りた気がするがまだプレイしてないなぁとか、そろそろ部活入れとか言われたなぁとか、
取り留めのない事を考えていると、突然お腹が痛くなってきた。


ギュルゴリュダシュレリュニャム〜〜〜


怪しい呪文のようなその音は自分のお腹から鳴っていた。
そういえば、牛乳の賞味期限が切れ居ていたのを2日前ぐらいに確認した気がする。
それから牛乳を買ってないから、あの牛乳は3日ぐらい賞味期限が切れていることになる。

最悪だ、最悪だ、最悪だ。
あの牛乳は利之に悪戯するためにとって置いた物なのに自分が引っかかるなんてっ!!
ダッシュで学校についた俺は即行で保健室に駆け込み事情を話すとトイレに駆け込んだ。

保健室の近くのトイレの個室に駆け込む。
一番奥の個室だけは和式でなく洋式なので落ち着いて踏ん張れるのだ。

踏ん張って踏ん張ってお腹の調子が落ち着いた頃には、1時間目は始まっていたが、まあ、いいか。
ズボンを引張り上げベルトを締めてトイレの扉を開ける。



そして、閉める。
そして、また開ける。


おい、おい、おい!!!
ここはどこだよっ!!!!!!!!




トイレの扉を開けると、そこはなんだか素敵な廊下でした。
自分の高校は古くから立っている由緒正しい公立高校だった。
いわゆる、ボロ高校だったわけだから、こんなに綺麗な廊下はありえない。
それに、どことなくロココ調といえばいいのだろうか?
知識の少ない頭にはなんともいえない、ヨーロピアンな窓だったりとかがある。

一気にお腹の痛みが再発し始めた。
とりあえず、トイレにまた入るかと現実逃避気味にさっき閉めた扉を開ける。
扉もなんか高そうな洋風な扉だった。
トイレの扉に気合入れすぎだろ、これ。



「リヴァル遅い!!」

「イタっ!!」



扉を開けるとそこには金髪美人がいた。
金髪美人は手に持っていた何かの資料を丸めて俺を叩いたのだった。
痛いと言うよりは驚いて声を出してしまった俺はとりあえず。



「何するんですか会長〜〜」



会長って誰だよ。うちの学校の生徒会長は男だよ。女じゃないよ。
改めて部屋を見ると金髪美人(実はかなりの巨乳だった)以外にも数人人がいた。
内心の戸惑いは部屋の中にいる誰にも分からなかったらしく、また頭を叩かれた。



「今日中に処理しなければいけない書類ばっかりなのに遅れるリヴァルが悪い」

「ルルーシュは俺が朝からお腹の調子が悪いって知っててそれ言うのかよ!!」

「ルルもリヴァルも喋ってないで手を動かしてよ」



オレンジ色のロングヘアの女の子の言葉に
ルルーシュと呼ばれた――いや、俺が呼んだ――黒髪の少年もやれやれな雰囲気で黙りこむ。
俺はとりあえず開いた席に座った。


ん?ルルーシュって聞いたことあるような、ないような、ないような、あるような……。
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルーシュルルーシュ
ルルーシュルルールルールル!!


思い出したっ!!


脳内で美形黒髪少年の名前を呪いのように唱えていた
俺は生徒会の仕事を終え(何で俺が手伝わなきゃならんのだ)寮の自室に帰った頃思い出したのだった。
大体が2人部屋なのに、俺の部屋だけ人数の都合らしく2人部屋を1人で使っていた。
やっほーい!!

でだ、ルルーシュの何を思い出したって、あれだよ。
たしか、俺の親友の利之が言ってたんだ。
今、話題のアニメだって。


アニメだって

アニメだって


アニメだってぇぇぇぇぇえぇぇぇえええええええええええええ!!!





かなり、興味の無かった俺はその話を右から左に受け流して聞いていた。
そう、ムーディナンタラとかいう漫才師のように。

最近でもないが、第2シリーズがはじまったとか、
色んな視点で描かれた、アニメ版とかなり変わった設定の漫画が何個もあるとか、
今のオープニングとエンディングはレンジが歌ってるとか、
それが、第一期で出てきたキャラクターのあだ名をもじって採用されたんだろうなとか、
いろいろ聞かされたうえでだ。
主人公の名前が確か、ルルーシュだったと思われるのだ。

断定は出来ない。
なぜなら、俺は興味が無かった。
興味がないのでうろ覚えだったのだ。

俺が覚えている主人公の名前はルールルとかいうなんだか鼻歌のような名前だったなぁぐらいの存在だった。
さらに、父親がシャラランとかいう感じの名前で王様みたいな人間でなおかつ、
平民はゴミだとかいう明らかなる脳ミソ沸騰している奴だというなんともよく分からんことしか覚えていなかった。


とりあえず、冷静になれ俺。
なんで、俺は見知らぬコスプレ集団(仮)にリヴァルなんてよく分からない名前で呼ばれてんだ。

とりあえず、自分――リヴァルのだが――の荷物を物色してみた。
何となく分かったことは、リヴァルの苗字はカルデモンドということと、アルバイトをしていることぐらいかな?

手詰まりになり、とりあえず、まだまだ調子が本調子でないお腹を押さえつつトイレに入った。
手を洗うべく洗面台で鏡を覗くと、自分じゃない人間だったの驚き思わずしりもちをついてしまった。



なんだこの顔はっ!!!!
俺じゃねぇっっっ!!!!!!
なんだこの髪型はっ!!!!!
無造作ヘアを気取ってんのかっ!!!

無造作すぎるぞっ!!!!!!



とりあえず、自分の顔か確かめるために顔を引張ったりしたが本物だ。
痛い。まじ、痛い。
明日には腫れるだろうと思われるぐらい引張ってしまった。

しくしくと内心泣きながらも、とりあえず寝巻きに着替える俺。
意外と自分が図太いことに気がついた。

ベットに飛び込み、とりあえず寝るかと枕を軽く抱きしめるとカサリと音がした。
不思議に思い、枕のカバーを取るとメモ用紙が入っていた。

メモ用紙を開いてみる。


閉じてみる。

また、開いてみる。

閉じてみる。




……………………っちょ、待てよ。
メモに書いてあったことはこうだった。



『俺へ

 このメモを見ている頃には俺は俺じゃないと思います。
 今、リヴァルになってる俺はたぶんはじめての体験にドギマギしていると思われます。
 ですが、誰にでもはじめてはあるものです。
 ええ、これからも沢山沢山沢山はじめてを体験しますが頑張って。
 案外慣れるものです。
 さて、この現象についてですがそれはあるべき時にしかるべき人から説明があると思いますので省略します。
 気にしたら負けです。
 同じような現象がこれからも起きますが、それも気にしたら負けです。
 
 とりあえず、書けることだけ書きます。
 最初、リヴァルの性格に引きずられると思いますが大丈夫、これからもそんなもんです。
 次に、これは俺が思っている通りにアニメ版コードギアスです。アニメ版でよかったね。
 あと、ルルーシュの父親であるブリタニア皇帝の名前はシャルルです。シャラランではありません。
 適当に頑張ってたらいつの間にか元の世界に返れます。でも、死んだら終わりなので死なないようにしてください。

 最後に、この手紙を書いた俺はこの世界にいます。
 俺を見つけれたら沢山話しましょうネ』



メモを見て思った。
どこの世界でも俺は俺なんだぁってさ。
時計を見ると九時ちょっと過ぎで、寝るにはまだ早いかな。
とりあえず、寝巻きのまま宿題だと思われるプリントを解こうと筆記用具をだした。

でもね、俺英語できないんだけど、なんか読めるし書けるし。
宿題は数学なんだけどね。
内容はとりあえず簡単ではないが難しくもないのでノートを見ながら回答で埋めていく。
明日の朝一にルルーシュと答え合わせをしよう。そうしよう。
今日の会話的に同じクラスだろうし。頭良さそうだし。うん、大丈夫でしょ。




俺ってすごく図太いんだなぁ。
そんな風に思いながらプリントと格闘した憑依一日目だった。







 

でたらめ知識で書いているので所々公式と違う設定になっていたらすいませんっ

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